第2話 停電
学生の頃、友人4人でシルクロードを旅していた時の話。旅先のとあるホテルに投宿し、夜、私の部屋にみんなで集まって明日からの予定をあれこれ相談していた。
大体の行程が決まった頃、私はみんなにこう尋ねた。「このホテルってちょっと不気味じゃない?」「なんか、こう、空気が澱んでいるっていうかさあ。」実はホテルにチェックインするときから、なんとなくイヤな感じがしていたのだ。
友人たちは同意するものもあれば、そうかなぁ、といぶかしげにするものもいる。そこで私は、裸電球が一つぶら下がっている電灯を指差しながら、こう言ってみた。「もし、今、停電したら怖くない?」
そう、言うが早いか、突然ホテルのブレーカーが落ちた。「わー。」とちょっとした騒ぎになり、「電気消したでしょ!」と詰め寄るものもあった。だが、部屋のスイッチは、みんなで集まっていたところから離れており、そもそもホテル全館が停電しているのだ。
10分程で、電気が戻ってきた。みんなでほっとしていると、ある友人がこうつぶやいた。「中国のオバケなのに、日本語通じるんだね。」その言葉にみんなで顔を見合わせた。
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