第16話 袈裟の坊さん
高校生の頃の話。ふとしたはずみで心霊写真のようなモノを見つけてしまった。河原で焚き火をし、飯盒でご飯を炊いている。同級生5、6人が写っている、何の変哲もない写真だ。 写真の右斜め上に、白っぽい煙の様な固まりが写り込んでいる。袈裟を掛けたお坊さんのようだ。ちょうど、寮室でみんなで雑談している時に見つけたので、みんなに見せてみた。 みんなの反応は、「確かにそう見える」とか「焚き火の煙じゃないの?」とか、様々であったが、焚き火の煙だとすると不自然な場所に写っているし、写っている焚き火の煙とは質感が違っていた。 そのうち、その写真に写っている一人が、この写真なら自分も持ってる、と言い出した。学校の行事で写した写真なので、同じものを焼き増しして持っているらしい。ちょっと取ってくるね、と彼は部屋に取りに戻った。 数分して戻ってきた彼は首をかしげている。そんなの写っていなんだけど…、彼は言う。同じ写真である。だが、確かに白い固まりは全く写っていない。みんなで理由を考えてみたが、分かるはずもなく、結局、全員が黙り込んでしまった。