第20話 墜落現場
昔、男子寮にいた時の話。夜寝ている時、毎晩のように金縛りにかかっていた。そしてほぼ毎回、金縛りの最中にはドアノブをガチャガチャ回す音がする。 昼寝の最中にも金縛りとドアノブの音に悩まされていた。金縛りが解けた後同室の同級生に、今ドアノブガチャガチャ言ってなかった?と聞いても、そんな音はしないという返事だった。 そんなある日、寮監の先生が部屋を訪ねてきた。ちょっとした用事を済ませた後、何の気なしに寮監の先生に金縛りとドアノブの話をしてみた。寮監の先生は、ちょっと驚いた顔をした後、こんな話をしてくれた。 この寮は何回か増築しているのだが、何回目かの増築工事の時に死者が出ている。高所から足を滑らせてそのまま地面に…ちょうど一階のこの部屋のドアの外側あたりが墜落現場だ。 頻繁な金縛りとドアノブのガチャガチャ音は、私に何かを伝えたくて、なっていたものだったのだろうか。