第8話 ラジオ
学生時代、全寮制の学校に通っていた。寮室は2人部屋で消灯時間は夜1時だった。ある日の消灯後のお話。 消灯してから間も無く同室の友人の方から、ボソボソと声が聞こえる。どうも、ラジオを聴いているようだ。と、その時あることに気がついた。この寮の消灯はブレーカーごと落とすのでコンセントからも電気が供給されない。いったい、どうやって音が出ているのだろうか。 友人に声をかけてみた。「ラジオ聴いているの?」友人はこう答えた。「やっぱり聞こえる?」友人も困惑しているらしい。「電池で聴いているんじゃないんだよね?」友人は首を横に振りながら、ボソボソと音が聞こえるコンポのコンセントを見せてくれた。壁のコンセントからは完全に抜けている。「どうやって音が出ているの?」「分からない…」と友人。 結局原因は分からずじまい。ただ、同じ出来事は、その友人と同室の1年間の間に、4、5回あったことを記憶している。