第6話 昭和50年

 子供の頃の記憶。川沿いの堤防沿いに道を歩いている。両手は母と母の妹に手を繋がれている。たまに手を引っ張って体が宙に浮く。

 だんだんと目的地のデパートが近づいてくる。7、8階建てくらいだろうか。屋上から垂れ幕が掛かっている。「昭和50年さよならセール」と書いてある。年の瀬なのだろう。

 この場面での記憶は今述べたとおりだ。なんの変哲もない子供の頃の記憶なのだが、私はこの記憶に合点がいかないところがある。

 私は昭和48年生まれなのだ。つまりこの記憶は私が1歳数ヶ月の頃のもの。ある程度のひらがなが読めるのは、まあ、あり得るとしても、なんで「昭和」が読めているのか?不思議な記憶である。


怖い話、実話


 

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