第9話 X’mas

    第6話 昭和50年 の続きの話。今度は同じデパートの内での記憶だ。「さよならセール」と垂れ幕があっただけあって、デパート内も年の瀬の雰囲気だ。

 エスカレーターに乗っていると見えてくるディスプレイの中に「x’mas」の文字がある。それを「ちゃんと読めた」私は、わざと母に対して「バツマスってなーに?」と聞くのだ。母はそれに対して、「あれはクリスマスって読むんだよ」と普通に返事をしている。そんな記憶だ。

 第6話の時にもお話ししたが、その時私は1歳。1歳の子どもが、こんなふうに冗談を交えた受け答えをするものなのだろうか。不思議な話である。


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